動産の差し押さえ・競売

相手方が所有する財産があることはわかっているが、その値段が不明な場合、どのように差し押さえを行えばよいでしょうか?
民事執行手続において、財産の差し押さえは、原則的に所有者がその財産の存在、種類、数量、価値等について提示しなければならないとされています。これは、権利侵害に対する弁護手段としての差し押さえが、強制執行手続をもって実現される場合において、強制執行資産の存在及び価値を、第三者である執行官が独自に探索・調査したり、評価する余地がないことが理由としています。
しかし、現実には、債権者が差し押さえを求める対象となる財産やその価値について、債務者が提示する情報に対して懐疑的な場合や、提示された価値が明らかに過大であると思われる場合があります。このような場合においては、差し押さえ手続に際して、債務者から提示された情報を基本としつつも、さらなる調査・査定を行う必要があります。
民事執行手続において、強制執行資産の探索及び評価を行う場合には、執行官にその任務が与えられます。執行官は、強制執行資産の存在及び価値を調査し、査定するために、債務者及び第三者からの情報の提供、または調査等を行うことができます。
具体的には、次のような措置が取られます。
(1)財物目視調査
まず、執行官は、債務者の所有物件を目視調査します。これにより、債務者が所有する不動産や自動車等の財産を特定することができます。
(2)登記簿調査
不動産や自動車等の登記簿を調査し、所有権や抵当権等の登録があるかどうかを確認することができます。また、登記簿上の評価額をもとに査定を行うこともできます。
(3)調査費用の請求
執行官は、債務者や第三者からの情報提供や調査に要する費用を請求することができます。調査費用は、査定対象の物件や調査方法により異なりますが、差押物件の価値によっては数十万円以上になることもあります。
(4)評価手続
強制執行資産のうち、特に不動産や有価証券等高価な財産の場合には、評価人を特定し、査定を行うことがあります。評価人による査定結果は、執行官がそのまま採用するわけではありませんが、これを参考にして査定を行うことがあります。
以上が、債務者からの情報提供に頼ることができない場合において、執行官が判断を行いながら査定を進めていく方法です。ただし、このような調査・査定にかかる費用は、強制執行を行った債権者が負担することになります。
また、債務者が所有する財産の種類や数量が把握できている場合においても、その価値が不明である場合には、差し押さえができないわけではありません。この場合には、債務者に対して査定を行うよう求めることができます。
債務者に対して査定を求める場合には、次のような方法があります。
(1)解決の申し立て
債務者に対して、執行官が調査や査定を行うことを求めたものの、債務者が反論した場合には、当事者間での解決を申し立てることができます。これにより、解決が得られた場合には、その内容を報告書にまとめて提出することができます。
(2)民事訴訟
債務者に対して、民事訴訟を提起することもできます。この場合、債務者の財産の価値を訴訟において立証することになります。ただし、訴訟にかかる費用や時間が増えることが予想されるため、差し押さえ手続に先立って民事訴訟を提起することは、あまり一般的ではありません。
以上のように、財産の価値が不明な場合においても、調査や査定を行うことにより、債務者が所有する財産を特定し、差し押さえを進めることができます。しかし、強制執行資産の探索及び評価にかかる費用は、債権者が負担することになりますので、予めその予算を考慮する必要があります。
おすすめ法律相談

業務改善提案書に記載された営業秘密が外部へ漏れた疑いがある。提案先企業側が情報漏洩の責任を認めてくれるか、また補償が可能か相談したい。
まず、「営業秘密」とは何かを確認する必要があります。営業秘密とは、企業が保有す...

作家と出版社の契約書について。出版社が推薦したイラストレーターを使用せずに、自分で選んだイラストレーターに依頼したところ、出版社からクレームが来ました。契約書にそのような規定は無かったため、クレームについてどう対応すればよいか悩んでいます。
作家と出版社との間に締結された契約書には、作品の出版に関する諸条件が記載されて...

医療過誤に関する相談 Aさんは、近所にある病院で膝の手術を受けたが、手術後に歩行が困難になり、足の感覚がなくなっていることに気づいた。別の病院に行くと、手術中に神経を損傷していたことが判明した。Aさんは、病院に対して責任を問いたいと思っている。
Aさんが受けた膝の手術において、手術中に神経を損傷するという事態が発生したとい...

Aさんは個人事業主として、家具製作の仕事をしています。ある顧客からの依頼で、大量のテーブルを作る契約書を作成しました。しかし、製作途中で顧客が成立しなくなり、契約を解除したいと言われました。この場合、どのように対処するのが適切でしょうか。
法的回答 個人事業主であるAさんが、ある顧客からの依頼で大量のテーブルを製作...

Dさんは、不動産業者から借りたマンションから引っ越すことになったが、契約書には違約金の規定が明記されておらず、引っ越しの費用なども含めた違約金の算出ができず、法律相談をすることになった。
不動産業者との契約が締結された場合、契約書には物件の情報や賃料など様々な取り決...

Fさんは、商標を使用して販売していた商品について、商標登録をしていなかったため、他社に商標の使用を差し止められたという問題を抱えています。登録を急いで行いたいが、すでに商標を使用しているために問題が発生する可能性があるため、どのような対策を講じればよいのかを知りたいと考えています。
Fさんが商標を使用していた商品について、他社に商標の使用を差し止められたという...

Iさん Iさんは、大学教授であり、論文執筆をしています。最近、同業者から自身の論文が盗用され、それが別の論文として発行されていることを知りました。このような盗用により、自身の研究への信用が低下するため、この問題を解決したいと考えています。このような状況で、不正競争防止法はどのように適用されるのか、またどのように対応すればよいのでしょうか。
Iさんが自身の論文が盗用され、それが別の論文として発行されていることを知った場...

Gさん Gさんは、自身が作成した小説について著作権を取得したいと考えていますが、出版社からの出版依頼がないためどうすればよいかわからないという状況です。
著作権とは、著作者に対して当該作品を創造した権利を保護する法的保護制度であり、...