勤務規則・就業規則

勤務規則により病気や怪我による欠勤時には医師の診断書を提出することが義務付けられていますが、その医師の診断書を提出することが困難な場合があります。これは違法ではありませんか?
勤務規則によって、労働者が病気や怪我等の理由で欠勤をする場合に、医師の診断書を提出することが義務付けられていることは一般的です。これは、雇用者が正当な理由に基づいた欠勤を行っているかどうかを確かめるため、雇用者の側の利益を保護する意図があります。しかし、労働者側からすれば、提出が困難な場合は違法と感じる可能性があります。以下では、この問題について、法的な観点から解説していきます。
まず、労働者の健康状態に関する情報は、個人情報保護法により保護されています。労働者が病気や怪我によって休職する際に提出する医師の診断書は、労働者の健康状態に関する情報が含まれています。そのため、雇用者は、提出された医師の診断書を、適正に管理し、漏洩しないように保護することが求められます。
また、一般的に、雇用者が労働者に対して義務付ける規則が、違法であるとされるためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。すなわち、(1)労働法や関連法規に違反している場合、(2)人格権を侵害する場合、(3)通常の勤務に比べ著しく過度なものである場合、(4)労働者が自由に労働契約を締結する自由を制限するものである場合です。
第一に、労働法や関連法規に違反している場合ですが、病気や怪我による欠勤時に医師の診断書を提出することが法律に違反しているということはありません。
第二に、人格権を侵害する場合ですが、労働者の個人的な健康状態が一般に公開されることになることは、その個人情報の保護に反するものであり、人格権を侵害する可能性があります。ただし、労働者の健康状態を確認するために必要な最小限の情報を提供することは、必要最小限の範囲内であれば、人格権を侵害するとはいえません。
第三に、通常の勤務に比べ著しく過度なものである場合ですが、医師の診断書を提出することは通常の勤務に比べて著しく過度なものではありません。
第四に、自由に労働契約を締結する自由を制限するものである場合ですが、病気等の理由によって休職する権利自体は、労働契約において保護されているものであり、制限されるものではありません。また、病気や怪我による欠勤時に医師の診断書を提出することを義務付けることは、労働契約の自由に対して制限を加えるものではありません。
以上から、労働者において病気や怪我によって医師の診断書を提出することができない場合があることについては、法的に違法とはいえません。ただし、雇用者からの要請に対して、可能な限り提出できるように心掛けることが望ましいでしょう。
ここで、提出できない理由として、例えば産婦人科や精神科等の医療機関から診断書を提供してもらえない、医療費を支払えない状態である場合が挙げられます。このような場合には、診療報酬の未払い等が原因で診断書が提供されない場合や、医療費が支払いできず病院から提供を断られる場合もあり得ます。
こうした場合、労働者は休職期間中は就労できず、給与の受け取りができません。このため、雇用者としては、労働者が正当な理由に基づいた欠勤であることを確認するために、何らかの代替手段を用意することが必要になるでしょう。
例えば、従業員のアドバイザー、社員組合、指定された特定の職員、外部の認定機関等による診断書の受理も考えられます。このような手段で、労働者が正当な理由に基づく欠勤であることを確認することができると、労働者が診断書を提供できない場合でも、正当な理由に基づく欠勤とみなせるため、犠牲になることはありません。
以上から、医師の診断書を労働者が提出できない理由がある場合については、法的に違法とはいえませんが、雇用者としては、取り引き先としても、従業員としても、適切かつ公正な判断をすることが必要になるでしょう。また、労働者にとっては、可能な限り診断書を提供するように心掛け、提出できない場合には、雇用者側とのコミュニケーションを密にし、相談・解決の努力を行うことが重要です。
おすすめ法律相談

相続人。父親が個人経営をしていたが、亡くなり相続した。しかし、経営の知識がなく、会社を存続させるためにはどうすればよいかわからない。 5. 会社を存続させるためにはどのような手続きが必要か。
相続人である場合、父親が経営していた会社を存続させるためには、会社法に基づいた...

従業員が退職してから、Hさんの会社の重要な情報が漏洩していることが判明しました。退職した従業員が業務の途中でスマートフォンで撮影した写真を、知人やSNS上のコミュニティで拡散していたことが分かりました。どのような法的措置を取ればよいでしょうか。
従業員が退職後に会社の重要な情報が漏洩してしまった場合、損害の賠償請求や差止め...

例えば、親が経営する会社を継ごうと思っているのですが、そのために必要な知識や手続きは何ですか?また、どのような経験や能力が必要ですか?覚悟しておくべきことはありますか?
親が経営する会社を継ごうと思っている場合、必要な知識や手続き、必要な経験や能力...

賃金未払いについての相談 Iさんは定時退社後、残業代などの賃金が未払いになっていることがあります。賃金の未払いや不十分な払い戻しがあった場合、どのような手続きが必要でしょうか。解決策を教えてください。
まず、賃金の未払いや不十分な払い戻しがあった場合、労働者は雇用主に対して催促を...

会社を辞めた後、社会保険料の滞納が発覚して支払い請求書が届いた。支払いを求められた金額が高額すぎるため、相談したい。
まずはじめに、社会保険料について簡単に説明します。社会保険料は、健康保険・厚生...

心臓手術を受けた際に、手術器具が過去に別の患者に使用されたものであったために感染症を発症しました。治療費と慰謝料の請求について、どうすればいいですか?
上記のような医療ミスや医療過誤によって患者が被害に遭った場合、患者には請求権が...

Cさん Cさんは、夫が自己破産をしたことにより、銀行から夫名義のローンの返済を求められている。夫とは別に収入を得ているが、返済ができない状況にあるため、自己破産することも考えている。しかし、その場合、自分の収入はどのように扱われるのか、アドバイスを求めている。
Cさんが自己破産をする場合、自分の収入はどのように扱われるかについて、以下に解...

Cさんは、関東地方にあるホテルで経理を担当している。最近、宿泊客から室内での飲食を希望する要望が増えており、ホテル内の飲食サービスを提供することができるのか、またその場合の法律上の問題点はあるかについて相談したい。
まず、ホテル内での飲食サービスを提供することができるかどうかについてですが、一...

輸入した商品が、輸出国で知らないうちに紛争地域に輸出され、輸出入関連法に違反していたことがわかり、罰則を受ける可能性がある。このような場合の対処方法についてアドバイスを求めたい。
日本における輸出入関連法には、輸出取引における監督・管理及び是正の仕組みを定め...