著作権・知的財産権
Gさんは、ある出版社の書籍を自分のブログで紹介しました。すると、出版社から「あなたのブログに書籍の一節を抜き出して引用しているが、許可を得ていないため差し止めを求める」という通知が来ました。どうすればいいでしょうか。
まず最初に言っておきますが、引用は権利者から許諾を得なければならないという法律はありません。
ただし、引用する際には「著作権法上認められた引用の範囲内で行われなければならない」というルールがあります。
では、具体的にどのような引用が著作権法上認められた引用なのでしょうか。
一般的には、以下の3つの条件を満たす場合に著作権法上認められた引用とされます。
①引用元が明示されること(出典の明示)
②引用が目的とする性格、著作物の性格、引用の量及び引用の仕方が相当であること(引用の相当性)
③引用によって著作物の利用者の権利者の権利を不当に害するおそれがないこと(被引用物の利用による権利制限)
以上の3つをクリアする引用であれば、著作権法上認められた引用となります。
では、この3つの条件を満たす引用とは具体的にどういうものでしょうか。
①引用元が明示されること(出典の明示)
引用する際には、明確に引用元がわかるようにする必要があります。
出典を明示しない場合、その引用は著作権法違反となる可能性があります。
②引用が目的とする性格、著作物の性格、引用の量及び引用の仕方が相当であること(引用の相当性)
引用する場合は、引用の目的が、学術的・批評的・報道的などの目的であることが望ましいです。
また、使用する引用の範囲については、多すぎず少なすぎず、必要最小限に抑えることが望ましいです。
また、引用の仕方にも注意が必要です。例えば、引用を切り貼りしてしまうのではなく、引用部分を囲って明確に示すようにしましょう。
③引用によって著作物の利用者の権利者の権利を不当に害するおそれがないこと(被引用物の利用による権利制限)
引用によって、著作権者の利益を不当に害することがないようにすることが必要です。
例えば、大量の引用を行い、それが原著作者の経済的利益に影響を与えることがあれば、著作権法違反となる場合があります。
以上の条件を満たさない引用を行った場合、著作権侵害の可能性があるため、出版社からの差し止め請求などのリスクが生じる場合があります。
とはいえ、紹介するために一部を引用することは、一般的には認められた引用となります。
この場合、引用方法に注意していれば、特に心配する必要はありません。
しかし、著作権者から差し止め請求があった場合には、自分が行った引用方法や目的、引用量などを正確に説明できることが重要となります。
具体的には、以下のような対応が考えられます。
①説明文を追加する
引用を行う場合は、必ず出典を明示するようにしましょう。
出典が明確になれば、著作権者からのクレームを受けた際にも、引用元を説明することで一定の対応が可能です。
②引用部分を限定する
引用を行う際には、原則として引用範囲を最小限に抑えるようにしましょう。
また、必要最小限の引用を行い、その引用部分が著作権侵害に該当しないことを説明することで、クレームへの対応が可能となります。
③クレームを和解する
クレームが届いた場合は、著作権者と和解することを検討することも由々しき事態と言えます。
著作権者との交渉によって引用方法や引用量などを再調整し、和解することでクレーム発生のリスクを回避することも重要です。
総括
いかがでしたか。
引用においては、著作権法に基づくルールが存在するものの、決められた引用量などはなく、あくまでも相当性を判断しています。
ただし、紹介のための引用については、著作権法上認められた引用となり、特に問題はありません。
たとえ差し止め請求があった場合でも、3つの条件をきちんと満たす引用であれば、何も問題はありません。
紹介のための引用に際しては、相当性の判断や引用範囲を最小限に抑えることなどに注意して引用しましょう。
また、クレームが届いた場合には、著作権者との交渉を行って引用方法を再調整することもできます。
法的な問題に直面した場合も、引用方法を正確に説明できるように、必要な知識を習得しておくことが大切です。
おすすめ法律相談
Bさんは経営者であり、40代の男性です。彼は従業員からの訴えにより、犯罪行為を疑われています。彼は捜査を受けており、証拠があれば逮捕される可能性があります。彼は今後どのように振る舞えばよいでしょうか?
Bさんが従業員から犯罪行為を疑われているということは、もし彼の疑いが真実である...
働いていた会社が倒産してしまい、労働条件や未払い給与の取り戻しを求めたいと思います。どのように行動すればよいのでしょうか?
まずは倒産した会社に対して、未払い給与や労働条件の改善を求める手続きを取る必要...
Iさんは、ある雑誌上で自身が携わっているプロジェクトの内容を誤解させるような記事が掲載されたことにより、名誉毀損を受けたと考えている。その雑誌に対して法的措置を考えている。
法律においての名誉とは、その人物に対する社会的評価に関するものであり、個人の尊...
養子縁組を受けたいですが、現在生活保護を受けています。その状態で養子縁組が可能かどうか教えてほしいです。
養子縁組を受けるにあたって、現在生活保護を受給されている場合でも養子縁組が可能...
経営者責任問題で相談したいことがあります。私が勤める会社の経営者が、インサイダー取引に手を染めた疑いが浮上しました。私たちは、この件について社員への報告を行うべきでしょうか?また、対処法についてアドバイスをいただけますか?
まず、インサイダー取引とは、非公開情報を利用して取引をすることをいいます。これ...
企業での業務上、社員の個人情報を扱うことになったが、情報管理の方法に不安がある。情報漏えいや不正利用を防ぐための施策について相談したい。
企業が社員の個人情報を適切に管理することは重要な法的責任であり、また社会的要請...
賃貸物件で住居には適さない臭いが発生してしまった。原因は隣人の料理臭やペットの臭いが漏れることだった。自分でも対策を考えてみたが、解決できていない。管理会社に相談したところ、対応してくれないため、どうすればよいか悩んでいる。
この問題については、まずはじめに、物件所有者(大家さん)や管理会社に適切な手続...
Gさん Gさんは、自己破産をした後に再度借金をしてしまい、再度の債務整理について相談がありました。
自己破産とは、自分自身が借金で追い詰められ、返済できない状態にあることを理由に...
契約した建設業者が予定通り工事を完了できない場合、どのような責任を負うのでしょうか?
契約した建設業者が予定通り工事を完了できない場合、その責任は契約書によって異な...
インターネット上での個人情報の漏洩があり、被害に遭っています。法的手段を相談したいです。
個人情報の漏洩は、その情報を保有・管理する事業者の責任において行われた場合には...