コンプライアンス・内部告発

過去に不正行為をしたことがあるため、内部告発をした場合、それが自分自身に不利益をもたらす恐れがあります。どのようにすれば、自分自身を守ることができるでしょうか?
内部告発は、企業内における不正行為や不適切な事象を発見し、これに対して法的に、倫理的に責任を負うことを求める制度です。しかし、内部告発をすることは、告発した内容に関与した人から不利益を与えられる可能性があります。そのため、内部告発することに不安を感じる方もいるでしょう。そこで本稿では、内部告発で自分自身を守る方法について解説します。
内部告発の基礎知識
内部告発とは、企業内で不正行為や不適切な事象を発見した場合に、その事実を直接上司や企業内の内部告発担当者に報告することを指します。内部告発によって、企業内での不正行為を発見し、解決することができます。内部告発は、企業内での法的規定に基づく制度であり、より良い職場環境を作るために有効な手段です。
内部告発による不利益
一方で、内部告発をすることによって、内部告発した内容に関与していた人から報復を受けることがあります。具体的には、陰口を叩かれたり、仕事上の機会を失ったり、昇進ができなくなったりすることがあります。また、一部の企業では、内部告発を禁止する取り決めがあったり、内部告発した人を解雇することがあったりするので、その場合は不正行為を実行した側が守られる結果となってしまいます。
法律的根拠
内部告発を行う際には法律的な根拠があります。例えば、「労働安全衛生法」の「健康増進措置に関する規程」の中で、職場における不適切な事象を報告することが労働者の義務として定められていたり、「個人情報保護法」の中で、個人情報を不適切に利用されることを発見した場合、開示することが認められています。また、内部告発については「内部告発者保護法」があり、内部告発しようとした人は、内部告発によって報復を受けてしまった場合でも、法的に保護されることが定められています。
内部告発に際しての注意点
内部告発をする際には、以下の点に注意することが必要です。
1.事実に基づいているか確認する
まず、内部告発を行う前に、事実が十分に確認されていることを確認しなければなりません。虚偽の告発は、法的にも問題が生じることがあります。したがって、証拠を収集し、内部告発によってどのような問題を解決しようとしているかを明確にすることが重要です。
2.適切な相手に報告する
内部告発は、企業内部にある告発の窓口、通報者、または上司に対して報告することが多いです。それぞれの企業や職場では、内部告発の取り扱い方が異なりますので、内部告発担当者を通じて手順を確認しましょう。また、報告書には個人情報を含まないようにし、必要以上に情報を開示しないように注意しましょう。
3.自分自身の証言に注意する
内部告発をしても、告発内容について自分自身が関与していた場合、証言を求められることがあります。その際に、虚偽の証言をした場合、法的な責任を負うことがあります。明確に本人が行ったこと以外のことについては、証言しないようにしましょう。また、証言する前に、弁護士と相談することもおすすめです。
4.内部告発者保護法を知る
内部告発者保護法についての理解も重要です。内部告発をした場合、報復を受けた場合には、適切な対処が行われるように、法的な根拠を把握しておくことが必要です。
内部告発が必要となった場合には、以下のような手順を踏むことがおすすめです。
1.報告や証言し、その内容を記録する
内部告発や証言などを行う場合には、一定の手順を踏みましょう。手順があり、適切に手続きが行われた場合、不必要なトラブルを未然に防ぐことが可能です。
2.内部告発担当者に相談する
内部告発に関する企業のルールや、内部告発に関する窓口がある場合、その窓口に直接相談し、手順を確認しましょう。各企業で内部告発の取り扱い方は異なりますが、自社のルールにのっとった手順を踏むことが重要です。
3.関連する情報を収集することが必要
内部告発を行う場合、証拠を収集し、報告書類に揃えておくことが重要です。証拠があることにより、どのような問題が解決することができようかを明確にしておきましょう。
4.弁護士のアドバイスを聞く
内部告発が必要な場合、弁護士に相談するのも一つの解決策です。弁護士は報復から保護する方法や、情報の収集方法、内部告発が適切であるかを判断することができます。
内部告発を行う際には、上記のように注意点や手順を踏むことで、自分自身を守ることができます。また、内部告発は、職場環境を改善するために非常に重要な手段であるため、法的根拠を理解し、適切な手順を踏んで対応することが大切です。あなた自身の状況を正確に把握し、必要に応じて弁護士に相談しながら、適切な対応をとっていきましょう。
おすすめ法律相談

労働契約書について。新しく入社することになったが、契約書には「賃金は定額制であり、固定残業代を含んでいる」という記載があったため、残業代の支払いに不安を感じています。
労働契約書とは、労働者と雇用者との間で締結される契約書のことです。この契約書に...

Gさんは、温泉旅館を経営している人です。最近、周辺の自然環境が悪化しているためか、温泉の源泉も汚染が進んでしまっている状態です。Gさんは、地方自治体や関係者に相談して、解決策を見つけることにしました。
Gさんが所有する温泉旅館の源泉が汚染されてしまった場合には、環境保護法に基づく...

Bさんは、勤務先で働いていたとき、労災に遭いました。現在は、傷病手当金を受給していますが、治療費や後遺障害についての補償についての知識がありません。どのような手続きが必要でしょうか?
労災とは、労働者が業務中や通勤中に事故や疾病に見舞われた場合に、雇用主が担う責...

Dさんは、ある人物に対して強く反感を抱いていた。その人物は、ある日Dさんのプライベートな情報をネット上で公開してしまい、Dさんはプライバシー侵害として名誉毀損を受けたと感じ、法的措置を考えている。
Dさんが自分の個人情報を、意図せず公開された場合、それはプライバシー侵害とみな...

Hさんは、夫と離婚して1年が経ち、新たに恋人ができました。しかし、夫との間に生まれた子どもについて、恋人が養子縁組したいと提案してきました。Hさんは、夫とうまくいっていない反面、子どもを手放すことに葛藤があります。法的に解決できるのか知りたいそうです。
恋人が養子縁組を希望している夫婦の間に生まれた子どもについて、Hさんは葛藤を抱...

加藤 光一さん(自営業、48歳)は、離婚が成立した場合、子供の養育費をどのように払えばよいのかと悩んでいます。夫婦は共同で子供を育てていましたが、別居や離婚後は、どちらが養育費を支払うべきかという問題が生じます。加藤さんが、養育費の払い方や金額について法律相談を行いたいと思っています。
加藤さんが離婚した場合に、子供に対して養育費を支払うことになるのは、民法に基づ...