プライバシー侵害・名誉毀損

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Iさんが、自分が所属する教会の告知をSNS上で行ったところ、別の宗教団体から中傷コメントを受け取った。そのコメントには、Iさんがテロリストとして警察に通報されるべきだと書かれていた。Iさんは宗教的な仲間の名誉を守るため、告訴しようか迷っている。

まずはじめに、中傷コメントには名誉毀損罪が該当する可能性があります。名誉毀損罪は、他人の名誉、信用、声望を傷つける行為を禁止している罪で、刑法で規定されています(刑法第230条)。



しかしながら、SNS上での中傷においては、中傷コメントを書いた人の特定が困難である場合があります。そのような場合は、名誉毀損や中傷に基づく損害賠償請求や告訴などが事実上できないため、多くのSNSサービスでは自己責任とすることが明記されていることがあります。



ただし、刑法には名誉毀損罪のほかにも、公務員に対する威力業務妨害罪が規定されています(刑法第129条)。



この罪は、官公署の業務を妨げる行為を禁止しており、その中には、虚偽の情報を故意に送信し、公務員の業務を妨害する行為も含まれます。今回の場合、警察に対して虚偽の情報を提供することを示唆する中傷コメントが書かれているため、公務員に対する威力業務妨害罪が成立する可能性があります。



したがって、Iさんが中傷コメントを書いた人の特定が可能である場合は、名誉毀損罪や威力業務妨害罪に基づいて告訴することができます。また、中傷コメントによって宗教団体間の軋轢が生じる可能性があるため、名誉毀損罪や威力業務妨害罪に基づく告訴等を検討する際には、周囲の関係者の協力を得ることが望ましいと言えます。



一方で、中傷コメントを書いた人の特定ができない場合は、被害者らは、SNSサービス事業者に対して、中傷コメントの削除や、最低限の情報必要最小限原則に準拠した個人情報保護対策を求めることができます。



また、生産物責任法にも、名誉毀損によって生じた損害について責任を負う事業者の販売している製品(この場合はSNSサービス)に関する規定があります。SNSサービスが名誉毀損によって損害を受けた場合、生産物責任法に基づいて、SNSサービス事業者に対して損害賠償を請求することができます。



以上のように、中傷コメントに対しては、刑事手続き、民事手続き、個人情報保護、商品責任法の観点から対処することが可能です。ただし、中傷コメントによって起こる生産物責任法に基づく訴訟は、その発信元が特定されることが必要であるため、個人情報などの捜査手続きが求められます。



SNS上でのトラブルに加え、中傷コメントの発信元が特定できないという問題にも直面することになるため、Iさんが今回の中傷コメントに関してどのような対応をとるかについては、これらの観点も踏まえて慎重に判断する必要があります。

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