社会保険・年金

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年金を受け取っているが、支給額が想定よりも低いため、年金額の計算方法について詳しく教えて欲しい。

年金の支給額は、様々な要因によって決まります。具体的には、加入期間、加入年齢、月額加入金額、特別加算などが挙げられます。ここでは、年金の基本的な計算方法を説明し、具体的な例を挙げながら、年金支給額が低くなってしまう原因と対策についても解説していきます。



まずは、年金の基本的な計算方法から説明します。日本では、国民年金、厚生年金、共済年金など、複数の種類の年金がありますが、基本的な計算方法は共通しています。ここでは、国民年金を例に説明します。



国民年金の支給額を計算する場合、まず、以下の2つの要素が必要です。



1. 累計加入年数

2. 平均的な月額加入金額



累計加入年数は、直近20年間のうち、一定条件を満たした年数を合算したもの(※年金改正により、2021年1月1日以降は10年間となります)。一方、平均的な月額加入金額は、直近20年間のうち、加入していた期間において、毎月支払った保険料や特別加算を合算したものを、累計加入年数で割ったものです。



例えば、直近20年間で、10年間加入していた場合、この10年間の平均的な月額加入金額が50,000円だった場合、累計加入年数は10年、平均的な月額加入金額は50,000円ということになります。この場合、年金の支給額は、次のように計算されます。



●年金支給額(基礎年金)=平均的な月額加入金額×累計加入年数×0.54



ここで、0.54というのは、国民年金の基礎年金額を1とした場合の割合です。この基礎年金額は、毎年4月に改定されるため、ここでは一例として30,000円(2021年4月現在)を基準に説明します。



例えば、上記の場合、年金支給額は、次のように計算できます。



●年金支給額(基礎年金)=50,000円×10年×0.54=27,540円



ただし、実際に支給される年金額には、上に紹介した基礎年金に加え、以下のような要因が影響するため、上記の計算式の金額とは異なる可能性があります。



1. 就労期間加算



累計加入年数に対して、加入者の最後の5年間で就労していた日数に応じて、1日ごとに0.1%の加算がされる制度です。最大で加入期間の25%まで加算できます。



2. 特別加算



継続的に加入していた期間に応じて、特別加算がつく制度です。最大で40年以上継続的に加入していた場合に、50万円の特別加算がつくケースもあります。



3. 所得制限



年金支給額に対して、国民健康保険や介護保険の加入費用が差し引かれます。また、所得が一定以上の場合には、その超過分がカットされる場合もあります。具体的な手続きや所得制限の詳細については、東京都の健康保険・年金相談センターや各市区町村の年金相談窓口に問い合わせるなどして確認することが必要です。



ここまで、年金の基本的な計算方法について説明してきましたが、年金支給額が想定よりも低くなってしまう原因と対策についても紹介します。



年金支給額が想定通りでない場合、原因は様々ですが、以下のようなケースが考えられます。



1. 加入期間が短い



年金支給額は、累計加入年数に直結するため、加入期間が短い場合は支給額も低くなりがちです。例えば、累計加入年数が5年以下の場合、基礎年金額は毎月1万5,000円を切るケースがほとんどです。これに就労期間加算や特別加算を合わせても、あまり大きな額にはなりません。



2. 月額加入金額が低い



加入期間が長い場合でも、毎月の加入金額が低い場合は、支給額が低くなりがちです。例えば、毎月10,000円程度の加入金額だった場合、累計加入年数が30年でも、基礎年金額は1万5,000円程度にしかなりません。



3. 勤務先の「年金拠出率」が低い



厚生年金や共済年金などの企業年金に加入していた場合、勤務先が支払う「年金拠出率」が低い場合は、支給額が低くなる傾向があります。厚生年金の場合、年金拠出率が5.5%であった場合、年金支給額は、平均で月額7,000円低くなると言われています。



年金支給額を増やすための対策としては、以下のようなものが挙げられます。



1. 加入期間の延長



累計加入年数が長くなれば、支給額も上がります。60歳までに加入期間を25年以上にすることが望ましいとされています。また、50歳以上であれば、60歳までの間に加入期間を10年間伸ばすことができる「加入期間延長特例制度」もあります。この制度を利用することで、支給額が増える可能性があります。



2. 月額加入金額の増加



毎月の加入金額を増やすことで、支給額を増やすことができます。ただし、市町村によっては、加入金額の上限が決められている場合もあるため、事前に確認することが必要です。



3. 低金利状況下でも、個人年金を検討する



現在の低金利環境下では、個人年金やNISAを利用することで、年金支給額を補うこともできます。個人年金は、一定期間毎月一定額支払うことで、将来の年金支給額を確保することができるものです。



以上のように、年金支給額は、様々な要素によって決まります。累計加入年数や平均的な月額加入金額、就労期間加算、特別加算などの要因が影響するため、年金支給額が想定通りでない場合は、原因を調べて対策を考える必要があります。また、加入期間の延長や月額加入金額の増加、個人年金の検討なども、年金支給額を増やすための手段として有用なものと言えます。

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