雇用契約・労働条件交渉

「Dさん」は、派遣社員として勤務しているが、同じ仕事をしている正社員と比べて、残業や休日出勤が多く、賃金が低いことに不満を感じている。派遣社員の待遇に関する法的な問題で、労働条件交渉を相談したい。
Dさんが派遣社員として勤務していることから、Dさんと派遣企業との間には「派遣契約」が締結されています。この派遣契約は、労働者と派遣企業の間で、次のような事項が合意された書面契約です。
① 派遣期間の期限
② 派遣先(使用者)の名称、所在地等
③ 派遣業務の内容、期間等
④ 派遣労働者に支払われる報酬またはその算定方法
⑤ 派遣労働者に対する社会保険の加入について
⑥ 派遣労働者に対する労働時間、休日、有給休暇、残業手当等の処遇について
⑦ 派遣労働者に対する退職慰労金等の支払いについて
⑧ その他、当事者が合意した事項
派遣法では、派遣労働者と正社員との待遇差をなくすため、派遣労働者にも同一労働同一賃金の原則が適用されることになっています。つまり、同じ仕事をする正社員と派遣労働者との賃金水準は同一でなければならないということです。また、時間外労働の割増賃金も正社員と同じ水準で支払われることになっています。
しかしながら、派遣社員は、使用者である派遣先が決定する職場で働くため、正社員と比較して劣悪な労働条件にさらされることがあります。このような場合には、派遣労働者に対して、労使協議による問題解決手続き(労働条件交渉)が行われます。
労働条件交渉とは、派遣企業と派遣先企業との間、あるいは派遣労働者と派遣企業との間で、労働条件(賃金や労働時間、休暇等)についての問題を解決する手続きです。具体的には、派遣労働者の待遇改善や正規雇用への移行などが求められます。
派遣法により、労働条件交渉の手続きについては、派遣労働者は活用団体を通じて行われます。活用団体とは、労働者を代表して派遣企業との折衝を行う労働組合や労働者団体のことです。また、派遣法には、派遣労働者が加盟することができる「派遣労働者活用団体」が設置されています。このため、Dさんが加盟する活用団体に協力を求め、労働条件交渉を行うことができます。
ただし、活用団体は、法人格を持つ労働組合や労働者団体であり、加盟することによって一定の費用がかかります。そのため、まずはDさんが加盟することができる派遣労働者活用団体の情報を収集し、加盟に必要な費用や手続きについて確認することが必要です。
また、労働条件交渉にあたっては、派遣法の規定や労働基準法、民法などの法律に基づいて、相手方との交渉や契約締結を行う必要があります。したがって、そのような法的知識やスキルを持つ人や弁護士、労働問題に詳しい法律家のサポートを受けることも有効です。
以上のことから、Dさんが派遣労働者として適正な待遇を受けるためには、活用団体に加盟し、労働条件交渉を行うことが重要です。ただし、必要な知識やスキルが必要になるため、専門家のアドバイスを受けた上で行動することが望ましいといえます。
おすすめ法律相談

自分が発明した新技術に対して、事業者から特許権侵害防止の契約を求められた際、その契約が個人としては不利益なものではないか、また契約内容の証明方法について相談したい。
まず初めに、特許権とは特定の発明について独占的な権利を付与することであり、その...

自分が発明した新技術に対して、事業者から特許権侵害防止の契約を求められた際、その契約が個人としては不利益なものではないか、また契約内容の証明方法について相談したい。
まず初めに、特許権とは特定の発明について独占的な権利を付与することであり、その...

会社員で、個人向けの消費者金融から借りたお金が返済できなくなり、債務整理が必要になりました。周りの人にも借金がばれてしまい、重い気持ちで生活しています。
消費者金融からお金を借りていた場合、返済が困難になってしまった場合には、過払い...

Jさんは、宿泊予約サイトを運営しています。最近、突然、ホテルから予約が取り消されたとクレームがありました。Jさんは、観光業・ホテル・旅館関連法規に基づき、どのように対応すればよいでしょうか。
Jさんが運営する宿泊予約サイトに関して、取り消された予約に関連するクレームが存...

建設業を行うために、許認可が必要になるかどうかを知りたいです。また、必要であればどのような手続きをすれば良いのでしょうか。背景としては、新たに建設業を始めるために必要な許認可があるかどうか確認したいと考えています。
建設業を行うために、許認可は必要になります。具体的には、「建設業許可」が必要で...

Hさんは、夫と離婚して1年が経ち、新たに恋人ができました。しかし、夫との間に生まれた子どもについて、恋人が養子縁組したいと提案してきました。Hさんは、夫とうまくいっていない反面、子どもを手放すことに葛藤があります。法的に解決できるのか知りたいそうです。
恋人が養子縁組を希望している夫婦の間に生まれた子どもについて、Hさんは葛藤を抱...

Dさんは大手製造業に勤務している。部署内で上司が工場の安全基準を破って生産性を上げようとしていることを知り、コンプライアンス部門に報告したが、上司から報復を受け、プロジェクトから外される状況になっている。相談したい。
Dさんが上司の安全基準違反をコンプライアンス部門に報告したことは、社会的に正し...