営業秘密・情報漏洩対策

...
営業秘密を持っていた社員が個人事業主として独立し、競合会社と取引を始めたと知りました。このような場合、法的にどのように対応すればよいでしょうか?

本件において、営業秘密とは「企業が独自に開発・収集した、製品や技術などの情報、製造物の仕様書、製造法、販売先や購買先の情報、営業戦略・ノウハウなど企業にとっての価値を有する情報」のことであり、個人事業主に転身した元社員が取引先に営業秘密を漏洩している場合、競業禁止条項等を設けていた場合は違反している可能性があります。



営業秘密を漏らされた企業は、営業秘密の侵害に対する損害賠償を求めることができます。そのためには、具体的な被害額を明らかにする必要があります。具体的には、営業秘密が漏洩されたことによって失われた売上高、取引先の喪失、開発費の無駄遣いなどを証明する必要があります。



また、競業禁止条項があった場合は、その条項に違反し、競合他社との取引を開始したことが明確であれば、契約違反として法的措置を求めることができます。競業禁止条項とは、一定期間内、同業者として競合事業を行うことを禁止する契約条項です。当該条項がない場合でも、社員は勤務中に知り得た業務上の情報については、当然に秘密を守る義務がありますので、秘密侵害に問われることがあります。



さらに、日本の商慣行として、アメリカや欧州で一般的なノンコンペティション・クローズ・アグリーメント(以下、「NCA」という)も存在します。NCAとは、退職後に一定期間、同業他社等において自らの業務に関する知識や情報を利用し、競業をすることを禁止する契約条項です。ただし、NCAは日本では近年までほぼ無いものとして扱われており、また、その有効性については議論が分かれるところです。



他にも、知的財産権法上では「営業秘密の保護等に関する法律」が定められており、企業が持っている営業秘密については、不正競争防止法により保護される場合もあります。不正競争防止法上での営業秘密とは、ビジネスの運営上重大な情報であり、合理的な秘密保持措置がされており、かつ、他人から容易に取得できない情報であることが必要です。



以上のような観点から、営業秘密の漏洩に対しては、損害賠償請求や契約違反の訴訟、NCAの契約、不正競争防止法に基づく訴訟などの法的手段を検討することが考えられます。ただし、それらに先立ち、元社員との和解交渉によって解決することが可能であれば、その方が効率的であることもあります。

おすすめ法律相談

飲食店での食中毒により、治療費が膨大な額になってしまった

飲食店において、食中毒により被害を受けた場合、被害者は損害賠償請求権を有します...

飲食店でアルバイトをする傍ら、学生として大学に通いながら過労で倒れた

当該事案については、労働法上の労働時間・休憩時間といった労働条件、健康管理上の...

建設業を行うために、許認可が必要になるかどうかを知りたいです。また、必要であればどのような手続きをすれば良いのでしょうか。背景としては、新たに建設業を始めるために必要な許認可があるかどうか確認したいと考えています。

建設業を行うために、許認可は必要になります。具体的には、「建設業許可」が必要で...

日本での永住権取得に必要な期間について教えてください。

永住権とは、外国人が日本において長期的に在留することを許可する資格のことを指し...

私は会社でIT担当の社員として働いています。最近、私が管理するシステムに不正アクセスがあり、顧客の個人情報が漏洩してしまいました。このことが原因で名誉毀損の疑いがあると社長から言われ、退職を勧められました。自分が担当していたシステムに問題があると思っていますが、弁護士に相談してどうすれば良いでしょうか。

まず、不正アクセスや個人情報の漏えい、名誉毀損の疑いがある事案については、犯罪...

祖母が相続人全員に遺留分を出すことを明言していたのですが、相続手続きを進めていたら、叔父から「遺留分減殺をする」と言われました。どうすればいいでしょうか?

このような問題については、相続法に定められたルールに従って解決することが最も重...

勤務規則により残業時間が定められていますが、それを超過する場合には残業代が支払われる旨が規定されています。しかし、実際には残業が常態化し残業代も支払われていません。これは違法ではありませんか?

はい、勤務規則によって定められた残業時間を超過した場合には、残業代が支払われる...

Eさんは、投資用不動産を買い取り、自己で賃貸物件として運用することになりました。しかし、物件が古く、修繕費用がかかってしまったり、入居者が支払わない家賃が発生したりすることを懸念しています。投資用不動産を運用する上での注意点やトラブル発生時の解決策について、どのようなアドバイスがあるのでしょうか。

投資用不動産を運用する上での注意点 1. 契約書の確認 物件を購入する前に、...

Fさんは、企業が彼女の個人情報を漏洩してしまい、迷惑メールがいっぱい届いていると相談してきました。個人情報漏洩に対して、どのように対応すればいいでしょうか。

個人情報保護法(以下、「法」という。)とは、個人情報を保護するための法律です。...

Aさんは、ネットショップで販売するためのオリジナルデザインの商品を製作していました。しかし、ある日、競合他社が同じようなデザインの商品を販売していることを発見しました。Aさんは、自分の知恵財産権が侵害されたと考えています。このような場合、どのように対処すればよいでしょうか。

Aさんが自分の知恵財産権が侵害されたと考える場合、まずは法的な手続きを行う必要...